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  • 執筆者の写真yaasuu

あつい夏

今年の夏は暑い!ほんとうに!!

今日も青空がひろがっていました。




暑い季節になると、 ご主人のことがだいすきだったRさんを思い出します。


ご主人の姿が見えなくなるといつも

「おとうさ~ん、おとうさ~ん」と呼んだり、ケイタイに電話したりしていました。


「おとうさんと離れるのはイヤ」と泣きべそをかきながらよく言っていました。



やさしい人で、君子蘭の花が好きでした。

ベッドでの生活が長かったので、

Rさんの家の玄関先に咲いた 君子蘭の花の写真をみせたら、

泣き顔が満面の笑みになって「きれい~」と喜んでくれていました。




こんな暑い夏でした。

クーラーの調子がすこし悪く、

Rさんに「クーラーが効かなかったら、このボタンを押してね」と

訪問するたびに リモコンを手元に置いて説明しました。


ある夕方、

「朝から R が一度も起きへんのや」とご主人から電話がありました。

胸騒ぎがし、急いで自転車でかけつけました。

Rさんは、高温になった室内でベッドに寝たまま

ケイレンを起こしておられました。


すぐに救急車、ドクターカーが到着し、

救急隊員は「暑いな」と言いながら ばたばたとRさんを運び出し、

病院に向かって行きました。



何日か経って意識は戻りましたが、

以前のようにしゃべったりできなくなってしまわれ、

「家に帰したいんやけど…」とご主人に何度か相談を受けましたが、

それが叶うことはありませんでした。





暑い日にいつも思います。

もっと他に方法はなかったか、と…





ご主人はその後、出会うたびに

「あのときは遅くまで一緒に病院にいてくれたなあ」

「あのときはお世話になったなあ」

とねぎらう言葉をくださいます。



ギュッと胸がしめつけられます。









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